無料ブログはココログ

最近のトラックバック

« 「ミッドナイト・イーグル」感想 | トップページ | 「クリフハンガー」感想 »

2007年12月 1日 (土)

「スターシップ・トゥルーパーズ」感想

【映画感想(DVD)】

「スターシップ・トゥルーパーズ」感想
(STARSHIP TROOPERS:1997)

(監督)ポール・バーホーベン
(出演)キャスパー・ヴァン・ディーン ディナ・メイヤー デニース・リチャーズ ジェイク・ビューシイ ニール・パトリック・ハリス クランシー・ブラウン パトリック・マルドゥーン マイケル・アイアンサイド

面白度 : 9点/10点
お薦め度: 3点/10点


 ポール・バーホーベンの「スターシップ・トゥルーパーズ」をDVDで観ました。

メチャクチャ面白いですね(^^)

劇場公開当時も映画館に観に行って、やはり面白い!と興奮したのですが、10年ぶりにDVDで鑑賞しても、その面白さに変わりはありませんでした。

ただ、後で述べるように、ほんのちょっとだけ不満も感じたので面白度は満点ではなく9点です。
また、かなり癖のある作品で、エグさ・グロさも際立っているので、苦手な人も多いでしょうから、お薦め度は低めの3点です。

 この映画の何が面白いって、とにかく特撮が凄まじい!
10年前の1997年に作られたってのが驚きな程の、凄まじいレベルですね。

特に、本筋とはあまり関係の無い、宇宙のシーンが凄まじくって、「スター・ウォーズ:エピソード4」以来の、宇宙モノの特撮の金字塔かも?と思えるくらい、細密な特撮が見れます。
下手をすると「スター・ウォーズ:エピソード1~3」あたりよりも、印象が深かったかもしれません。

 次に良いのは、良くも悪くも「ポール・バーホーベン節」が全開している点でしょうか。
「ロボ・コップ」(ROBOCOP:1987)から「トータル・リコール」(TOTAL RECALL:1990)へと続く、バーホーベンのSF作品の流れを汲む、そして集大成となるのが本作「スターシップ・トゥルーパーズ」です。
そのブラック・ユーモアとエグさ・グロさが溢れる演出が特徴で、ここらあたりで好き嫌いが別れるかもしれませんが、僕は大いにハマりました(^_^;)

  また、映画の後半で展開される凄まじいばかりの戦闘シーン。
特に少数の味方を膨大な数の敵が取り囲むシーンでの、絶望的な恐怖感と緊迫感ってのは、SF映画でありながら下手な戦争映画よりも怖さを感じさせてくれるものがあって、ハマった部分でもあります。

 マイナス面も大きく、クズな部分があるのも事実です(^_^;)

今書いたように、バーホーベン節であるエグさ・グロさが苦手な人はダメでしょうし、原作好きな人は、そもそも「強化服(パワード・スーツ)」が登場しない点でダメでしょう(^_^;)
また、全体を見ても、後半の派手さに比べて前半かっきり1時間があまりにも退屈で、下手なTVの青春ドラマレベルだってのがダメでしょう。

また、それに輪を掛けているのが役者の下手さです。
特撮にお金をかけ過ぎたのか、主役級の俳優が押しなべて下手な青春ドラマのレベルの俳優であり、キャラ設定もストーリーも陳腐さと退屈さを際立たせています。

 しかし、それでも僕がこの作品を押すのは、「ハインラインの『宇宙の戦士』」としてではなく、「バーホーベンの『宇宙の戦士』」として観ると、一本の作品としての強烈な個性と面白さを感じて、それらマイナス点を凌ぐ面白さを感じたからです。




※以下、ネタバレがあります。





 この作品、もともとは著名なSF作家ロバート・A・ハインラインの小説「宇宙の戦士」を原作としています。

人類が地球外生命体である、蜘蛛型のエイリアンと異星で戦闘を繰り広げるって設定や、前半は主人公の青年が激しい訓練でバリバリの戦士へと変貌する姿を描き、クライマックスでは敵の大将を捕獲するあたりなど、大筋の骨子では同じと言えるでしょう。

しかし、原作を読んだ事のある人(僕もです)が、このバーホーベンの映画化作に大きな違いを感じる点は、やはり「強化服(パワード・スーツ)」が出てこない点では無いでしょうか?
僕がこの作品に10点満点をあげられない理由の一つがこの点なのです。

この「強化服」ってのは、いわば宇宙服を元にした戦闘服の変形で、兵士の全身を覆いつつ、その力を補助して凄まじいパワーを生み出す戦闘服であり、SFファン、アニメファンの間では、のちの「機動戦士ガンダム」のモビル・スーツのアイデアの元となったものとして有名です。
邦訳小説にも表紙と挿絵が入っているのですが、そこに描かれる強化服のイラストがカッコ良いだけに、今回の映画化で果たしてどんなパワード・スーツが登場するのか?ってのが主眼になっていた点もあります。

ところが、公開前に明らかになったのは、バーホーベン版の「宇宙の戦士」では、どうやらこのパワード・スーツが一切登場しないらしいって事なのです。

ま、製作費云々の問題があったのかも知れませんし、ストーリー上の都合があったのかも知れません。

製作費で言いますと、特撮にとにかくお金をかけすぎなのは明らかで、パワード・スーツまで手が回らなかったと考えられます。
又、鎧のような強固な宇宙服姿であるパワード・スーツに身を包むと、配役が誰が誰か分らないって点もあったと思います。
僕も、この点は非常に残念ではありましたが、今考えると、確かにパワード・スーツをあきらめて普通のヘルメットに戦闘服姿にしたからこそ、生身の人間が戦う事のエグさ・グロさ・残虐さの際立ったから、ま、いいかな?と思っています(^_^;)

しかし、当時は「やはりパワード・スーツも見たかったなぁ」と少し残念がっていたのも事実で、「今回はしゃーないけど、パート2を作るなら是非パワード・スーツを復活させて欲しい」と思ったものです。
・・・ま、この点についても、実はフィル・ティペットが監督した続編「スターシップ・トゥルーパーズ2」(STARSHIP TOOPERS 2:HERO OF THE FEDERATION:2003)ってのが作られてはいますが、作品レベルが超A級からB級へと転落し、内容的にもかなりショボい作品になってしまったのが事実です(^_^;)
また、前作の内容をそのまま引き継いでいますので、兵士の服装もそのまんま・・・だったわけです(^_^;)

いずれにしろ、無いものねだりは仕方が無いので、僕は結構この作品はこの作品として、割り切って観ることが出来たので、パワード・スーツが無いって点も、許せたのが事実です。

 この作品、全体的なストーリーでは、スタンリー・キューブリックの「フルメタル・ジャケット」(FULL METAL JACKET:1987)を彷彿とさせる部分があります。
映画の前半で、鬼教官に厳しくシゴかれ、映画の後半では戦場で地獄を見るって展開。
「フルメタル・ジャケット」では、リー・アーメイが見事な鬼教官を見事に演じていましたが、この「スターシップ~」では、クランシー・ブラウンがその役に相当するキャラを演じていました。ま、リー・アーメイの鬼気迫る演技に比べれば・・・クランシー・ブラウンも面構えは良くっても、迫力はかなり劣りますねぇ(^_^;)

一度は惨敗を喫して撤退しながら、戦法を変えて再度、戦いに望むってあたりは、ベトナム戦争よりも第二次世界大戦あたりを彷彿とさせる部分もあると思います。
また、エイリアンが隕石を地球に降らせて攻撃するあたりは、日本人としては「宇宙戦艦ヤマト」のガミラスによる遊星爆弾を髣髴としますよね(^^)


 さて、この作品が面白かった理由を書きます。

とにかく、この作品は「特撮が素晴らしい」ってのと「ポール・バーホーベン節が全開している」って点、「押し寄せる敵に劣勢で戦う戦場の恐怖」を描いている点、この3点に集約されると思います。

 まず特撮に関してです。

とにかく、この映画は特撮が素晴らしい!
製作されたのが1997年って事で、今から10年前の作品なのですが、日進月歩で進む特撮技術の中にあっても、今見てもこの作品の特撮技術は霞むどころか、昨今の作品よりも高いレベルであったことが再確認で出来ました。

この作品では、大きく宇宙空間の特撮と地上戦闘の特撮の2つに分かれるのですが、特に、本筋とはあまり関係のない宇宙空間の特撮の方が特に凄まじいのです。

何が凄いって、とにかく宇宙空間にある基地だとか、そこにドッキングする宇宙戦艦の特撮が凄まじくって、同様の特撮を披露してくれる「スター・ウォーズ:エピソード1~3」の新3部作と比べても、僕は遜色の無い、いやそれ以上に素晴らしい特撮だったと思います。

特に、敵の攻撃を受けてバラバラに砕け行く宇宙戦艦の姿、「ロジャー・ヤング号」が二つに裂けて惑星方向へ落下していく時の、断裂面の特撮の微細さの凄まじさと言ったら、もう、限界以上にリアルであるし、DVDで見ればさらにリアルさが確認できます。

あと、月の周囲をリング状に取り囲む形で作られている宇宙ステーションの特撮もスケール感と迫力があって、惜しげもなく金を使っている感じが良くわかります(^_^;)

 次に地上戦闘の特撮に関してです。

これはもう、昆虫型のエイリアンの特撮、この凄まじさに尽きるのではないでしょうか?

確かに、メインとなる歩兵レベルのエイリアン以外の、重量級の地面から出てくるエイリアンや、最後に捕まえる首領級のエイリアンなど、明らかに「CG使ってるなぁ」と感じさせる、ちょい弱い特撮の部分もあります。
しかし、メインとなる歩兵レベルのエイリアンは、その数の凄まじさもさることながら、あれだけ数多くを1画面に登場させながら、どれも手抜きする事なく、リアルに描いているってのが、凄まじさを感じました。

その数も凄まじいですが、同時進行で人間側の歩兵と戦闘を繰り広げて、銃で吹き飛ばされていく姿も「実物か?」と思える程、リアルに描いています。

いやはや、エイリアンに攻撃されて突き刺され、ブンブン振り回される姿を描いてる点だとかも、どこからどこまでがCGで実写なのか?が区別が付かないほどリアルに描いています。
また、この手の特撮ものは、大抵が夜のシーンで特撮の下手さを誤魔化す場合が多いのですが、この作品では、最初の戦闘こそ夜間でしたが、あとは真昼間のシーンで、ド派手な戦闘を繰り広げているって点で、真っ向から観客に挑戦しているって姿勢が素晴らしいし、それをきっちりやり遂げて、完璧にリアルな特撮に仕上げているのが素晴らしかったです。


 次に「ポール・バーホーベン節」に関してです。

 ポール・バーホーベンにとって、「ロボ・コップ」から「トータル・リコール」へと続くSF作品の流れを汲む、そしてその集大成となったのが、この「スターシップ・トゥルーパーズ」です。

バーホーベン節で言いますと、「ロボ・コップ」のブラック・ユーモア溢れるCMそのままに、エグくてグロい広報ニュースに出ていて、まず笑わせてくれます(^_^;)

それ以上に、敵のエイリアンのブチ殺し方や、味方の機動歩兵の残虐な殺され方など、スピルバーグの「プライベート・ライアン」(SAVING PRIVATE RYAN:1998)以上の血なまぐさい、グロさを前面に押し出しています。

その点は、マイナスの面もあるでしょうが、圧倒的優勢な敵に包囲された時の恐怖感、殲滅戦の残虐さをリアルに描いていると言えるでしょう。
おそらく、バーホーベン自身のトラウマとなっている事があるのか、とにかくエグさとグロさを遭わせた殺人のシーンなどに異常なまでに執念を燃やしている人で、戦闘後に転がっている死体にまで、リアルなものを無数用意して散りばめているってのが、手が込んでいます。

話は少し変わりますが、SFとしてのバーホーベン節で言いますと、今回の「スターシップ・トゥルーパーズ」の中でも、宇宙船の内部とかに「トータル・リコール」と通じる美術センスを感じました。
正直、あまりリアルでないと言うか、ちょっとコミック風の安っぽさを感じる柱だとか壁だとかの金属風味ってのが、全く「トータル・リコール」のSF美術センスとそっくりで、「もしかして同じ世界での物語りか?」と思ってしまうほどなのは、監督の個性なのでしょうね、これも(^_^;)


 次に「押し寄せる敵に劣勢で戦う戦場の恐怖」です。

この点は、スティーブン・スピルバーグの「プライベート・ライアン」や、クリント・イーストウッドの「硫黄島2部作」「父親たちの星条旗」(FLAGS OF OUR FATHERS:2006)「硫黄島からの手紙」(LETTERS FROM IWO JIMA:2006)でも感じた、リアルな戦場の激烈さってのをSF映画の舞台を借りて描いている気がします。

当然、SF映画だけに、設定にリアルさが足りないのは当然なのですが、その中であっても、敵が「倒しても倒しても、その屍を乗り越えて襲ってくる」って恐怖は、顔の見えない敵と戦う恐怖と通じる部分があるのではないかな?と思います。

その意味では、同様に僕の大好きな作品であるジェームズ・キャメロン監督の「エイリアン2」(ALIENS:1986)に通じる恐怖感覚があります。
あの作品でも敵がエイリアンであり、しかも、倒しても倒してもその屍を乗り越えて襲ってくるって感覚は非常に似ていたように思います。
ハリウッド映画の凡百な戦争映画よりも、「エイリアン2」の方が戦場で顔の見えない敵と戦っている恐怖感をよりリアルに描いているな?と感じたのですが、それに通じる部分を「スターシップ・トゥルーパーズ」でも感じた次第です。

特に物語の終盤近く、エイリアンどもの策謀によっておびき出された主人公たちが、基地の周りから次から次へと襲ってくるエイリアンを阻止しつつ、脱出用宇宙艇が来るのを待つってシーンは、これはもう、観ているこっちも手に汗握る緊迫したシーンであり、この映画でもクライマックスと言える部分だったと思います。


 ま、全体的に観ると、前半の1時間かっきりは、退屈なだけの「クズ」ですから、あまりにも全体のバランスが悪いと言えるでしょう。

今回、観直してみても、かっきり前半の1時間は、主人公の学生時代の物語と軍隊に入ってからの訓練の様子を描くシーンが全てであり、まともな特撮やアクション・シーンは「無かった」と言ってもいいくらいです。

しかも、その前半で展開される物語が、安っぽいTVの青春ドラマ並みで、あまりにも陳腐で下らないのですが、それに輪をかけて、演じているキャストが下手すぎるってのが、余計に目立つマイナス点ですね(^_^;)
あまりにも特撮にお金をかけ過ぎたせいか、キャストがしょぼいと言うか・・・安っぽいTVの青春ドラマのキャスティングか?って言うくらい、演技が下手でチンケな役者しか登場していません(^_^;)

それらが重なって、前半1時間だけなら0点を付けたいほど、B級・C級くらすの作品に思えるのが、逆に笑えて好きなんですが(^_^;)


 そんな下手な俳優の中にあって、脇役のマイケル・アイアンサイドだけは非常に良い!

彼は「トータル・リコール」でもいい脇役を演じていましたが、ここでも名脇役として、要所を押さえています。
マイケル・アイアンサイド自身が終生、名脇役と言いましょうか、あまり大作で主役を張った事がない俳優ですが、僕はその風貌も含めて非常に好きな俳優で、「トータル・リコール」での全面的な敵役として見事にハマっていたと思います。

本作でも、見事な存在感を見せてくれていました。
冒頭で学校の先生役として登場しますが、ここでは、わずかに登場するのみです。
が、後半、戦場のシーンになると彼は軍人として登場し、主人公を指揮する上官の役を演じます。ここでの存在感と言いますか、頼りがいのある雰囲気ってのは、ま、他の役者が下手だったってのもあって、余計に目立っていました感じがしました。

ある程度、敵を倒していた段階で、ふと外を見ると視界外からさらにワラワラと地面を覆いつくす程の規模で敵が襲ってくるのを見て、義手で口をぬぐうしぐさをするあたりも、いい感じでした。


 結局、この作品は特撮マンのフィル・ティペットが続編として「スターシップ・トゥルーパーズ2」を作りましたが、公開のされかたも地味で、実際にDVD(かBS)で観た時には、B級ホラーを観ているレベルに感じました。

「2」は、全く面白くない・・・って程ではありませんが、舞台が一箇所であり、けっこう地味な展開とアクションなどを考えると、ランクが数段落ちた作品と言わざるを得ません。
せめて、1作目の半分の予算でもあれば、宇宙シーンは描けなくても、大規模な地上戦闘は描けていたと思うんですけどねぇ・・・

かえすがえすも、バーホーベンがそのままメガホンを取って「2」を監督し、今度こそ「パワード・スーツ」を登場させて欲しかったですね(^_^;)


【関連作品】

« 「ミッドナイト・イーグル」感想 | トップページ | 「クリフハンガー」感想 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/184932/17241796

この記事へのトラックバック一覧です: 「スターシップ・トゥルーパーズ」感想:

« 「ミッドナイト・イーグル」感想 | トップページ | 「クリフハンガー」感想 »