「クリフハンガー」感想
【映画感想(DVD)】
「クリフハンガー」
(CLIFHANGER:1993)
(監督)レニー・ハーリン
(出演)シルヴェスター・スタローン ジョン・リスゴー マイケル・ルーカー ジャニン・ターナー ポール・ウィンフィールド
面白度 : 6点/10点
お薦め度: 3点/10点
レニー・ハーリン監督の「クリフハンガー」をDVDで観ました。
なんで、いまさら14年前の「クリフハンガー」を観たのか?と言えば、先日劇場で観た「ミッドナイト・イーグル」(2007)がメチャクチャ面白くなかったので、口直しではありませんが、ふと、「同じく雪山を舞台にしたハリウッド映画と言えばコレしかないだろう」って事で、この映画を思い出し、レンタルで観ました。
元々、劇場公開されていた時も、予告編がメチャクチャかっこ良かったのと、監督が思いっきりハマった「ダイ・ハード2」(DIE HARD 2:1990)のレニー・ハーリンだって事で劇場まで足を運んで観たのですが、これが思いっきり肩透かしで大コケだった作品です。
とにかく、予告編では実写の迫力はる雪山高所アクションを「これでもか!」と、カッコよい音楽に乗せて一気に見せてくれていたのですが、実際に本編を観ると、そのほとんどが「合成」で、スタローンがスタジオ撮影した映像と実写の映像を合成して高所に居るように見せているシーンとかばかりだったので、そのギャップに「なんじゃ?こりゃ」とガッカリしたのです。
のみならず、テロリストと雪山レスキューのプロとの全面対決って設定ながら、テロリストの(墜落後の)計画が行き当たりばったりでいい加減な脚本だったもので、その面も含めて、期待が大きかっただけに、かなりガッカリした記憶があるのです。
では、なぜそれだけ面白くないと思っている「クリフハンガー」をもう一度観る気になったのか?と言えば、ひとえにネットの評価のためです。
「ミッドナイト・イーグル」でこの作品を思い出し、ふとネットで検索してみると、意外や!高評価している人が多かったので、「もしかしたら今観たら面白いかも?」と思って観なおしたのです。
で、DVDで観てみると、意外や!これがそれなりに面白いんですよね(^_^;)
冒頭の事故のシーン、この部分から一気にひきつけられて、あとは文字通り「クリフハンガー」は手に汗握るアクションの連続だったのです。
とは言え、元々、劇場で観た時は面白度が2~3点くらいだったのが、今回はギリギリ及第点の6点になった程度であり、決して個人的な満足度最低ラインの8点には遥かに及ばないのが事実です。
その理由は、やはり実写アクションではなく、スタジオ撮影と実写の合成ばかりであったのと、脚本が行き当たりばったりの連続であったって点でしょうか(^_^;)
ただ、あの無茶苦茶な劇画アクションでブッ飛ばしてくれた「ダイ・ハード2」のレニー・ハーリン監督らしい、荒削りで乱暴で、劇画チックなアクションの連続を再現してくれたって意味では、「レニー・ハーリン節」の作品として、非常に面白いノリの映画だと思いました。
また、冒頭で主人公がトラウマとなる事故があり、それ以来、本来の仕事から離れていた主人公が久しぶりに雪山にやってくると、そこではテロリストが大量の現金を盗もうとした飛行機が墜落して、仲間のレスキューともども窮地に陥る・・・って展開が、大筋で先日観た「ミッドナイト・イーグル」にそっくりだったってのは、いまさらながらに驚かされます。
と言うか、14年前にハリウッドでやっていたような脚本を、やっと邦画が真似できるくらいになったのか・・・と、遅すぎるなぁと感じるしかなかったですね。
しかも、僕がこれだけ酷評している「クリフハンガー」にすら、遥かに及ばなかったってのが情けないやら、ふがいないやら・・・
いずれにしろ、劇場公開当時は期待しすぎたってのもあったのですが、これだけ年月が経って気楽に見る分には、同じく雪山を舞台にしたアクション「バーティカル・リミット」(THE VERTICAL LIMIT:2000)に、個人的には及ばないと思いますが、それなり以上に面白い作品だと思いました。
※以下、ネタバレがあります。
基本的にこの映画、「ダイ・ハード」(DIE HARD:1988)以降に作られた「ダイ・ハード風」アクション映画のひとつです。
テロリストが立てた完璧な計画に対し、たった一人紛れ込んだ刑事が撹乱する事によって、次第次第にテロリスト側の計画が破綻していく・・・って展開。少し違う点もありますが、基本的な骨子は全く同じだと思います。
「ダイ・ハード」のブルース・ウィリスがシルヴェスタ・スタローンであり、アラン・リックマンがジョン・リスゴーであるわけです。
で、スタローンがウィリスばりに、何度襲われても生き抜いていき、一人、また一人とテロリストの手勢を削いでいくわけです。
この作品、劇場公開当時にはメチャクチャ期待して映画を観に行った記憶があります。
もともと、僕も大いに気に入った「ダイ・ハード2」の監督、レニー・ハーリンが再び大規模予算でアクション映画を撮ったって点もあるのですが、それ以上に「見たい!」と思わせた理由が「予告編」なのです。
今回のレンタルDVDでも特典映像としてアメリカ版と日本版の予告編が付いていたのですが、その日本版予告編を観て「そうそう!これが俺を劇場に足を運ばせたんだ!」と思わず頷いてしまったのです(^_^;)
その予告編ですが、本編の冒頭で描かれるロープ一本の高所からスタローンの手を滑り落ちて、女性が落下する姿をスローモーションで描いているシーンがそのまま使われ、あとも、本編の実写でのアクション・シーンを中心に「これでもか!」とばかりに矢継ぎ早にアクション・シーンをバンバン!と見せてくれいました。
また、その予告編のバックには、のちに話題になるのですが、本編でもサントラでも使われていなかった「運命の女神よ」ってクラシックが効果的に使われており、特に予告編のラストでスタローンがロープを持ったまま、谷間を飛び越えるシーンを使っていたのが、予告編のクライマックスとしてメチャクチャ盛り上がっていたのです。
で、この予告編を劇場で観た僕は「おお!スゲェ!こりゃ観たい!」と思ったわけです。
ところが、実際に劇場に足を運んで本編を観た僕は、「なんだ?こりゃ?」とズッコケてしまったわけです。
ズッコケた理由ですが、まず第一に「特撮」の下手さが挙げられます。
予告編では、とにかく「実写の迫力」とばかりに、本編でも実写で撮ったと思われる宙吊りシーンを中心とした高所のアクション・シーンを中心に編集されていたのです。
それだけに、本編でもスタローンが実際に雪山に入ってスタント無しで撮ったような、迫力満点の実写アクション・シーンが連続するのかな?と思っていたのです。
ところがところが・・・
実際に本編を観てみると、そこには「合成」だらけのアクション・シーンがあったのです。
本気で実写そのものだったのは、予告編でも大きくフィーチャーされた、本編冒頭の落下事故のシーン、ここだけだったんじゃないかな?と思えるくらい、見せ場のアクション・シーンはスタジオ撮影丸分かりの合成シーンばかりだったのです。
もちろん、実際の雪山をヘリで空撮したシーンも多くありますが、それらは危険を伴うアクション・シーンではなく、冒頭のイントロの部分であったり、普通に行軍しているシーンだけだったように思います。
一番白けたのは、スタローン演じるゲイブが岩壁に張り付いている姿をカメラがアップで撮るのですが、その後、カメラがズームアウトすると、実はゲイブが張り付いていた壁が断崖絶壁のど真ん中だった・・・ってシーンがあります。
しかし、このシーンは明らかにゲイブが張り付いている岩壁と周囲の岩壁の岩肌・色合いが違っており、誰が観てもスタジオセットで撮影した人物と実写の風景を合成しただけだってのがわかります。
いや、これはDVDで観たから気づいたのではなく、劇場で観た当時から気づいていた点です。
他にも多くあるのですが、僕はこのシーンだけで一気に白けてしまい、この映画の評価を決定付けたと言っても過言ではありません。
このシーンが明らかにしたのは、「この映画でスタローンは生身の危険なスタントは一切しないだろう」って点なのです。
それに気づかされたこっちは、もう、予告編で期待した事の9割が削がれてしまったように感じて、あとは全くハマれなかったのです。
他にも、ラスト近くでテロリスト側のハゲのおっさんとゲイブが対決するシーン、氷の張った池(?)で二人が戦うシーンなど、その直前まで実写の雪山だったのに、ハゲのおっさんがこの場所に足を踏み入れたシーンから、一気に「こりゃスタジオ・セットですがな(-_-;)」と丸分かりの、セット丸出し、照明丸出しのリアリティ無い映像に変わったのです。
結局、何事もすべからくこの程度で、登場人物が普通に雪山を行軍するシーンは実写の雪山の風景なのですが、絶壁でのアクション、洞窟でのアクションなどなど、激しい銃撃戦や格闘が行われる場面はすべからく実写ではなくセットだと分かるシーンばかりだったのです。
あと、冒頭にも書きましたが、僕が大興奮した「予告編」のラストで描かれる、スタローンがロープを持ちつつ、谷を飛び越えて向かいの断崖絶壁に飛んでいくシーン、気になったのでじっくり見ていましたが、実はこれ、本編では使われていませんでしたね(^_^;)
もしかしたら見逃しかもしれませんが、スタローンをバックから撮影した映像で、彼が崖に向かって一目散に走っていく姿、そして横から捉えたショットで、彼が向かいの崖に向かって飛んでいくシーン、これが全く本編では使われていませんでした。
この辺りの肩透かしも大きかったかもしれません。
この点、のちに公開された似たような内容の雪山高所アクション映画「バーティカル・リミット」と比べても、「バーティカル・リミット」の方が遥かに面白かったのです。
もちろん、「バーティカル・リミット」にしても実は実写のシーンは非常に少なく、「クリフハンガー」のトラウマ事故シーンそっくりな冒頭の事故のシーンでも、「クリフハンガー」以上に明確に「これは合成・特撮ですよ。決して実写ではありませんよ」ってのが、誰が観ても分かる質感で描かれていました。
また、本編においてもアクション・シーンでは実写よりも特撮ばかりであったのですが、僕は逆に、これだけ潔く特撮に徹して撮っている点、しかもアクションの迫力って点も含めて、「クリフハンガー」よりも好きだったし遥かに面白かったと感じたのです。
そう言えば、先の「クリフハンガー」の予告編では使われていたけど本編では使われていなかった「崖飛び越え」のシーン、実は「バーティカル・リミット」にもあるのです(^_^;)
しかも、「クリフハンガー」同様、予告編から登場しますが、「バーティカル・リミット」ではきっちりと本編でも同じシーンが登場します。
ただし、予告編のようなカッコ良い、ギリギリ感溢れるシーンではなく、意外と普通に飛び越える感じで、緊迫感は薄かったですが(^_^;)
次にズッコケた理由が「脚本」です。
とにかく、今回の「ミッドナイト・イーグル」の脚本もトンデモ級だったが、この「クリフハンガー」も負けず劣らずのトンデモ級だったと思います。
まず何と言っても、テロリスト側の無計画性です。
いや、元々は「完璧な計画」と劇中で言っていたように、飛行機から飛行機に乗り移るのはどうか?と思いますが、少なくとも計画通りに事は運んでいたようです。
しかし、ちょっとしたミスで移送先の飛行機が墜落し、その途中で現金が入ったケース3個が落下した事から、計画が失敗に向かって大きくシフトしていきます。
しかし、普通の映画だったら、このテロリストどもが現金を落下させて自分たちも別の場所に墜落した時点で、一旦、下山して、今度は雪山装備をした登山者を装ってガイドを雇って現金落下地点に向かう・・・ってのが普通なんじゃないの?と思ってしまった。
もちろん、ケースに発信機が付いているし飛行機が落下したとあっては、早晩、FBIあたりが捜索に向かって先に発見される危険性はあったと思う。
が、それにしても墜落した当時、彼らは普通の服装であって、決して激しい吹雪の吹き荒れる険しい雪山を踏破できるような雪山装備では無かったハズなのです。
それが、何故か墜落時の服装・靴でそのままレスキューの二人をガイドにして「ガンガン」と雪山行軍を続けていくわけです(-_-;)
普通に考えても登山靴でなけりゃ、足を滑らす危険が満載されているし、あれだけ気温が低いと思われる場所で一晩過ごすのに普通の冬服程度で全員何とも無いってのもなぁ・・・
そりゃ、主人公のスタローンがシャツ1枚で登山しても、氷の張る池に落下しても死なないんだから、なんでも有りの劇画アクションだってのは分かるけれど、あまりにも行き当たりばったり、ご都合主義って言葉が似合うメチャクチャな設定・展開であるなぁと感じた次第です。
他にも、マシンガンは用心の為に持っていたとしても、「暗視装置」ってのはどうやねん?って思ってしまった(^_^;)
あんたらは墜落するのを見込んで、しかも夜間に移動するのを見込んで暗視装置を持っていたのか?と・・・
他にも突っ込みどころ満載で、他の人が一番、気になったのはスタローンの薄着ではないかな?と思う点です。
いかに筋肉マンのスタローンとは言え、あれだけの雪山でTシャツ一枚だとか上半身裸ってのは、心臓麻痺で死んでしまうのでは?と思ったし、それ以上に、あれだけ体を殴られ、打ち付けられて、果たして最後のあのアクションが可能なのか?って疑問がありますね(^_^;)
普通だったら、途中でギブアップしてダウンしているでしょう。
ま、スタローンとシュワちゃんは不死身だから、なんとでもなるって設定なんでしょうね(^_^;)
それら、設定上の矛盾、いやそれ以上に行き当たりばったりにテロリストが行動しているってあたりが、脚本のアラとして目立ちすぎていた為に、特撮の下手さと相まって、映画にハマれなかった要素であります。
個人的には、敵のボス役のジョン・リスゴーが大好きで、彼がこれだけ大作の敵役に回ったってのは、一世一代の大役だったのでは?と嬉しい部分があったのですが、確かに冷酷な部分は出ていたと思いますが、脚本が脚本だっただけに、彼の憎憎しさって部分があまり上手く出ていなかったような気がして残念でした。
そんな中にあって、劇場で観た時に唯一ハマった点は、ゲイブが敵の一人と一緒になって夜の雪山の斜面を滑り落ちていくシーンです。
もつれながら滑り落ちていくスピード感も良かったのですが、その間に、ゲイブが相手の顔面を思いっきり雪面に押し付けて、相手の顔が火傷状態になって赤剥けになっていたって残酷なシーン、これは非常にレニー・ハーリンらしい劇画チックな描写だったな、と思います。
つまり、下手に特撮で高所を演出しなくても、こうしたハーリン節とも言える荒っぽいアクションを中心にして演出すれば、それはそれで面白かったのではないかな?と思うのです。
その意味では、ハーリンらしさを見せるには、雪山って設定そのものが、やはりハードなアクションや無茶なアクションを受け付けにくい舞台せっていであったかな?と思います。
ハリウッド映画には「海」を舞台にするとコケるってジンクスがある(のかな?勝手に付けましたが(^_^;))のですが、とかく全面的に「海」「山」などを舞台にすると、アクションの場合は実写で撮影するのが難しくて、身動きできなくなってしまう、シーンが制限されるってマイナス点があるので、やはり舞台設定がミスったのでは?と思います。
さて、それだけハマらなかった「クリフハンガー」の劇場での鑑賞ですが、今回のDVDでの鑑賞は、それなり以上に面白かったですね(^^)
冒頭、「カロルコ・プロ」のマークと音楽を観て、僕はふと「ターミネーター2」(TERMINATOR 2: JUDGMENT DAY:1991)を思い出してしまった(^_^;)
それだけ、このマークと音楽に印象深いものがあるんでしょうね。
余談はさておき(^_^;)
本編に入って、冒頭の空撮シーンを延々と観ていると、これだけで実写の迫力に圧倒されます。
また、バックに流れるトレヴァー・ジョーンズの音楽が素晴らしい! どこかで聞いたメロディなのですが、このメロディが「クリフハンガー」のテーマ曲だったとは、今更ながらに再発見をした気持ちです。
で、冒頭の落下事故のシーンになるのですが、このシーン、確かに役者をアップで撮っているシーンは確実に別撮りの映像であり、遠方からカメラが引いて撮った実写のシーンと違和感が大きくあります。
しかし、これも映画としては普通の手法であり、特段、今回は違和感を感じずに済みました。
いや、それ以上に落下のスローモーションのシーンの迫力、これの方に圧倒されたってのが事実です。
その後も、とんまなテロリストどもの「無計画現金奪還雪山踏破」の行き当たりばったりな脚本には軽く笑いつつも、最初に劇場で観た時に感じたほど、アクション・シーンでの合成に違和感を感じずに観る事が出来ました。
これはひとえに、「この映画はそんな映画なんだ」って割り切り、それに尽きると思います(^_^;)
下手に期待した最初の鑑賞よりも、一歩引いて観た今回の鑑賞の方が、割り切って楽しめるのは当然の事。
そうなってくると逆に、「ダイ・ハード2」で見せてくれた無茶苦茶な劇画アクションと同じノリをこの「クリフハンガー」でも、レニー・ハーリンは遺憾なく発揮しているのに気づかされます。
まず、最初のケースをゲイブが断崖を登って発見したシーン。
ここで、崖の下で一列になって残りのメンツが待っているのですが、ジョン・リスゴーの命令で銃撃を加えるシーンでのカメラ、これが良いのです。
カメラが、上を見上げてバリバリとマシンガンを発射しまくる敵を横から捉えつつ、そのまま断崖と平行してカメラが移動し、壁面に外を向いて立ったままへばり付くスタローンを捉えるシーン。映画的なこのシーンは、非常に迫力を持って撮られています。
それ以外では、やはり先にも書いたシーン、雪の斜面を敵もろとも落下しつつ、ゲイブが敵の顔面を雪面に押し付けるシーンは、ハーリンらしいさが一番に出ている見所だったと思います。
また、ハーリンらしいってわけではありませんが、冒頭、輸送機の後部を吹き飛ばし、ロープ伝いに人と現金の入ったケースを受け渡そうとする設定は、アクション映画らしいド派手さが満載されていて、前半のつかみとしてはOKだったと思います。
そして、その後の落下シーンでも、明らかにミニチュアと分かるシーンもありますが、実物大の模型を使っているシーンもあったのか、かなりの迫力を持って飛行機が雪面に激突して崖ギリギリまで滑降していくシーンなど、それなり以上に迫力と引きがあったと思います。
そしてラスト。
冷血で憎憎しげなジョン・リスゴー演じるテロリストのボスが、一人、ヘリコプターを駆ってゲイブと対決するのですが、これまた明らかにミニチュアと分かるヘリコプターが、ワイヤーで鉄のはしごに繋がって落下するシーンなど、冷静に観れば笑ってしまうチャチなシーンなのですが、ミニチュアにしても迫力ある撮り方、編集の仕方の良さで、これまたそれなり以上に迫力をもって観る事が出来ました。
この場面、どう考えても助かるわけ無いなぁ・・・と思いつつ、二人が引っかかったヘリの胴体の上で殴りあうってのは、「ダイ・ハード2」のラストで旅客機の翼の上で殴りあうシーンに合い通じる、ハーリンらしいけれんみのある舞台設定だったなぁと思います。
主人公のシルヴェスター・スタローンに関しては、「ランボー3/怒りのアフガン」(RAMBO Ⅲ:1988)や「ロッキー5/最後のドラマ」(ROCKY Ⅴ:1990)のあとで、一時期人気が低迷していた時期だと思います。
それまでのネームバリューだけでウケる時期から、ランボーやロッキーの看板映画の主役もひと段落し、コメディに新境地を目指そうとして迷走していた時期だと思います。
それだけに、この「クリフハンガー」の大ヒットは、久々に「アクション・スター」としてのスタローンの復活を告げる作品であったと思います。
これに続く何作かは、再び、それなりの存在感と評価を持って第二期の黄金期を過ごしていたと思います。
ま、それも長くは続かず、年をとることによって肉体派のアクション・スターとしては難しくなり、その後はB級作品やシリアス作品、脇役なども経験していたのですが、ここに来て、ロッキーとランボーの10~20年ぶりの新作で最後の一花を咲かせている感じです。
で、「クリフハンガー」のスタローンですが、この当時で40代後半であったのにも関わらず、引き締まって若々しい肉体をしており、アクション・スターとしての面目躍如たる雰囲気を漂わせていたと思います。
作品の内容的には、僕も疑問を持っている点は多々ありますが、こと、主役を張るスタローンについては、かなり存在感とカッコ良さを感じさせる名キャスティングだったと思います。
脇役のマイケル・ルーカーに関しては、その荒削りな風貌が大好きで、数多くの作品で名脇役ぶりを見せてくれていました。
本作でも、その存在感は大きかったと思いますが、役柄的に、テロリストどもに押さえられている場面が多く、最後に一人をがけっぷちで撃ち落とすシーン以外は、あまり目立ったシーンが無かったのが残念です。
で、何と言っても悪役のボスを演じたジョン・リスゴー。
と言っても、最近ではその出演作も印象に少ないし印象に残っていませんが、個人的には、ブライアン・デ・パルマの作品で幾度か重用されていて、その独特のヒステリックでイッちゃっている演技は非常に好きな俳優であります(^^)
デ・パルマ監督の「ミッドナイト・クロス」(BLOW OUT:1981)での変質的な殺人者や、4監督が撮ったオムニバス映画「トワイライトゾーン/超次元の体験」(TWILIGHT ZONE THE MOVIE:1983)でのラスト、ジョージ・ミラーのエピソードで旅客機の窓の外にグレムリンを見てパニックに陥る恐怖症の男が印象に深いですが、極めつけは、同じくデ・パルマが監督した「レイジング・ケイン」(RAISING CAIN:1992)でしょうか。
多重人格の殺人者を演じるのですが、一世一代の「主役!」ってのが、リスゴーのファンとしては嬉しい限りでした(*^_^*)
映画自体も、デ・パルマ・タッチのサスペンスの集大成的内容であり、見せ場たっぷり、クライマックスの興奮たるや!って名作(あくまでも個人的にです(^_^;))でした。
って事で、そのジョン・リスゴーが敵のボス役として登場するこの「クリフハンガー」は、一般の観客とは違った目で僕は観ていた点もあります。
しかし、実際には脚本が行き当たりばったりであり、ジョン・リスゴーが持つ独特の存在感が全く生かせていなかったのが残念でした。
監督のレニー・ハーリンに関しては、僕は「ダイ・ハード2」ともう1作「ロングキス・グッドナイト」(THE LONG KISS GOODNIGHT:1996)は大好きですが、この2作に挟まれた「クリフハンガー」と「カットスロート・アイランド」(CUTTHROAT ISLAND:1995)は失敗作だと思っています。
「クリフハンガー」は上記のような理由でイマイチでしたし、「カットスロート・アイランド」は、設定こそ僕の好きな海賊モノであるにも関わらず、そして「ダイ・ハード2」で劇画アクションで暴れまくったハーリン監督であるにも関わらず、非常にスピード感の無い、金をかけただけの失敗作だったのです。
今となっては、「パイレース・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」(PIRATES OF THE CARIBBEAN: THE CURSE OF THE BLACK PEARL)に始まるシリーズ3部作の先駆けとなったかもしれぬ愛と冒険の溢れるアクション大作であり、実際にヒットしていれば続編も夢では無かったでしょうが、実際にはもっちゃりしたスピード感の無い失敗作だっただけに、海賊ブームはこの作品では訪れませんでした(-_-;)
その後、「ロングキス・グッドナイト」で個人的に「ハーリン復活!」と叫んだのですが、それに続く痛快作が全く登場せず、世間では騒がれたようですが、個人的に「ディープ・ブルー」(DEEP BLUE SEA:1999)で「こりゃ、あかんわ(-_-;)」と放り出したのです。
意外にも、その後の「ドリヴン」(DRIVEN:2001)ってのが、奇しくも本作「クリフハンガー」のスタローンが脇役で登場する作品ですが、これがけっこう僕は気に入っていて、B級だけれどもドシドシとハーリンに作品と作っていって欲しいと思いました。
事実、この作品でのスタローンは、それまでの「俺以外に主役がいるか?」ってくらいの目立ちたがりな存在とはうって変わって、脇役としての存在感を非常にわきまえている良さがあって、それ以降の高齢化したスタローンが取るべき新たな一歩か?と思ったくらいです(が、彼はその後の主役を張っていくわけですが(^_^;))。
しかし、その「ドリヴン」も世間では色モノとして見られたようであり、評価もあまり高くなく、ハーリンは現在ではB級ホラー・アクション系の作品しか監督していない現状です。
などなど、数多くの事を考えさせられた作品でした(^_^;)
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