「パコと魔法の絵本」感想(劇場)
「パコと魔法の絵本」感想(劇場)
(09年09月23日 TOHOシネマズ梅田・シアター3)
(監督)中島哲也
(出演)役所広司 アヤカ・ウィルソン 妻夫木聡 土屋アンナ 阿部サダヲ 加瀬亮 小池栄子 劇団ひとり 山内圭哉 國村準 上川隆也
中島哲也監督の「パコと魔法の絵本」を観てきました。
メチャメチャ面白かったです(^O^)/
実はあまり期待せずに観に行ったのですが、その予想をいい意味見事に裏切ってくれた傑作でした。
とにかく、冒頭から大爆笑の連続で、最後にはボロボロ泣かせてくれるんだから、なかなか侮れない作品でしたね(^_^;)
俳優としては、やはり阿部サダヲが最大のクセモノであり芸達者でした。
彼が一番笑わせてくれましたね。
それに次いで素晴らしかったのは、実は國村準です。
いつもはコワモテの役柄ばかりなのですが、いきなり中年のオカマ役でどアップで登場するはち切れよう(^_^;) 挙句の果てにジュディ・オングの「魅せられて」を堂々と歌われては、舞台の見所を全てもっていかれたような感じですね(^_^;)
また、映像も冒頭からエンディングまで素晴らしくって、ホント、タイトルの絵本の世界にそのまま飛び込んだような映像感覚の素晴らしさには、息を呑むほどでした。
まるでティム・バートンかジョー・ダンテか?ってくらいでしたね(^^)
実は中島哲也監督の作品を観るのは初めてで、話題になった「下妻物語」(2004)も「嫌われ松子の一生」(2006)も観ていないのですが、久々に邦画で徹底的に楽しめる娯楽映画を観た気がします。
是非とも劇場でご覧頂きたい作品です。
※以下、ネタバレがあります。
この作品、劇場で予告編を観た時から気になっていたのですが、どうも「ハズすのでは?」って危惧があって、「観たい映画リスト」の上位に入りませんでした。
ところが、僕の周りで「観たい」って人が居たもので(って言っても1人ですが(^_^;))、他に積極的に観たい映画も無くなったので、あまり期待せずに観に行ったのです。
最初、期待していなかった理由としては、どうも「コメディ」として笑えるのかどうか?って危惧と、「感動作」として泣けるのか?って危惧があったからです。
子供向けのファンタジーのようなストーリーだが、登場する人物はどれも一クセも二クセもあって、とても「親子連れで楽しむファンタジー」って印象が無かったからです。
映像的には魅力的だが、さりとて笑えるようにも見えないし、キャラが強烈だから泣けるようにも見えないし・・・と思ったわけです。
ところがところが!
実際に観始めると、冒頭の老人になった阿部サダヲが大貫の遺影にマジックで落書きしようとするシーンで大爆笑してしまったのをきっかけに、あとは映像の見事さ、ギャグの面白さ、俳優の個性の強烈さ、さらにはクライマックスの大感動まで、全く飽きさせずに一気に観る事が出来たわけです。
映画として観ると、ファンタジーとしては僅かに「長い」かな?と感じるのですが、それは許容範囲でしょう。
あと、「子供が観れるかな?」って点も、確かにオカマやヤクザが出てきて、微妙なセリフもあるにはあるが、後半の感動を考えると十二分に観られる・・・と思います(^_^;)
ストーリー的には、やはり中盤から後半にかけての大貫の心理の変化と、みんなでパコの為に絵本を舞台化するあたりが一番面白かったです。
ラスト、大貫が絵本のガマ王子同様に倒れ、息を引き取る・・・と思わせた部分では、劇場のあちこちからすすり泣きが聞こえるほどで、僕も嗚咽を堪えながら観ていました。
非常にシンプルなストーリーで、しかも妙なキャラがわんさか登場する映画にも関わらず、これだけ一気に盛り上げて泣きにまで持って行くあたりは、非常に素晴らしい手腕だと感じました。
ただ、その後に「実は大貫は発作を起こしただけで、死んでいませんでした」って点は、僅かに微妙だったかな?・・・と思います(^_^;)
現在に戻って、阿部サダヲがオチを言うあたりは大笑いさせますが、その後の「本当の最後」の部分は、何故、大貫でなくパコが病床に伏せるのか?って点だけが、ちょっとだけ違和感を感じた次第です。
ま、それでもこの作品の感動と涙が薄れたわけではありません。
最後に大貫がベッドの上のパコの頬に触れると、パコが薄れ行く意識の中でガマ王子に手を取られて泳いで行く姿を体験するってあたりは非常に素晴らしかったと思います。
次に役者です。
個人的には、一番ウケたのは國村準の初登場シーンでしょうか(^_^;)
いつもはコワモテの役柄が多く、ヤクザや政府役人のクセモノっぽいキャラとかばかりを演じている彼が、いきなり濃いメイクで中年オカマ役を演じて、初登場でその「濃い」顔をどアップで撮られるんだから(^_^;) 観ていて大受けいたしました。
その後、なにかとジュディ・オングの「魅せられて」を歌うシーンが登場するのですが、これまた大爆笑で大笑いさせてもらいました(*^。^*)
彼以上に目立っていたのが、やはりクセモノの阿部サダヲでしょう。
冒頭に老人となった姿で登場しますが、大貫の遺影にマジックでヒゲをいたずら書きしようとするシーンで、一気に観客の心を鷲掴みにしました。
僕もこのシーンで大爆笑して一気にハマってしまい、その後、「人間なんて!」と人間でいる事を嫌がっている彼の「ピンポン」が登場するたびに大爆笑していました。
シリアスな演技からコメディまで見事にこなしますが、特にコメディの時のハイテンションな演技には感服いたします(*^_^*)
主人公のパコを演じるアヤカ・ウィルソンも、初めて観る俳優ですが、非常に可愛らしくって「ゲロゲ~ロ」と絵本を見ながら言うシーンは、魅力溢れていましたね。
あと、山内圭哉演じる関西弁バリバリのヤクザも爆笑(^^) 関西人の俳優さんなのでしょうが、ボケ・ツッコミのタイミングが絶妙で、彼で笑わされたシーンが何ヶ所もありました。
主人公大貫を演じる役所広司はさすがの貫禄で、難しい役柄を見事に演じていました。
その外にも数多くの俳優が登場していますが、この当たりが僕のウケた俳優さんたちです。
次に映像の見事さです。
冒頭から色彩感覚溢れるコミック・タッチな映像感覚が魅力的でしたが、この感覚、観ていてティム・バートンやジョー・ダンテを思い出しました。
ティム・バートンでは初期の「ピーウィーの大冒険」(PEE-WEE'S BIG ADVENTURE:1985)を思い出したし、それ以上に歪んだ室内セットなどは「トワイライト・ゾーン/
超次元の体験」(TWILIGHT ZONE THE MOVIE:1983)でジョー・ダンテが監督したエピソードの、コミックを実写化したような映像を思い出しました。
極彩色のオンパレードなのですが、観ていて違和感や疲れる事など全く無く、逆に惚れ惚れさせられるような映像の密度の濃さを感じました。
特に、予告編でも期待をしていた後半のCGのオンパレードの部分には、実写の極彩色とはまた違った、さらにビビッドな気持ちよさと勢いを感じました。
タイトルに「絵本」と入っているのですが、本編もまさに「絵本」そのものの映像感覚ってのは素晴らしかったですね。
全体的に非常にクオリティが高くって、逆に欠点を探すほうが難しいほどの完成度だと思います。
また、ハリウッド映画に比べても全く遜色の無いほどのエンターテイメント度と映像感覚が素晴らしく、昨今、元気の無いハリウッド映画に比べて逆に図抜けて面白かったと思います。
DVDになってから・・・などと言わず、是非とも劇場の大スクリーンで観て欲しい作品でした。


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