「イーグル・アイ」感想(劇場)
「イーグル・アイ」感想(劇場)
(EAGLE EYE)
(監督)D・J・カルーソー
(出演)シャイア・ラブーフ ミシェル・モナハン ロザリオ・ドーソン マイケル・チクリス ビリー・ボブ・ソーントン
面白度: 7点/10点
お薦め度:8点/10点
スティーヴン・スピルバーグ製作の話題作「イーグル・アイ」を観てきました。
いやぁ、想像通りの面白さでしたね。なかなか面白いです。
ただし「パクリ」が無ければなぁ・・・
これが無ければ面白度は「8点」にしても良かったと思います。
この作品、劇場で予告編を観た時から「おお!メチャクチャ面白そうじゃないか!」と思いました。
突然、家に武器が溢れているとおもったら、次の瞬間に謎の女性から電話がかかってきて「FBIが突入してくるからあと○秒で脱出しろ」とか、逮捕されてからも「あと○秒で伏せろ」と言われたと思ったら、クレーンが部屋を破壊して「ジャンプしろ」とか・・・
もう、この予告編でガツン!と殴られた感じで「観たい!」って気になりました。
実際、観始めると予告編なりの面白さはありましたね。
ただし、中盤でちょっとダレるので、中盤に盛り上がりのアクション・シーンがあればなぁ・・・と残念でしたが、それ以外は概ね、及第点の面白さがあったと思います。
個人的に一番好きだったのは、前半最大の見せ場、主人公男女2人が逃げるカー・チェイスのシーン。
カメラがアップとブレが多くて把握しにくいのですが、それを差し引いても非常にスピード感と迫力のあるカー・チェイスだったと思います。
あと、クライマックス近くの無人攻撃機とのカー・チェイスも迫力があって後半最大の見せ場だったと思います。
基本的にはヒッチコック・タイプの「巻き込まれ型サスペンス」なのですが、途中で「とある映画」のパクリになっちゃうんですよね(^_^;)
この「とある映画」になるあたりがネタバレとなるのですが、これが観ているすれっからしの映画ファンにはすぐに予想が付くネタバレだし、劇中でバラすタイミングも早すぎた気がします。
このネタバレが、後半のギリギリ遅くまで引っ張っていたなら、もう少しサスペンスとしての謎と面白さが盛り上がったと思うのですが。
また、クライマックスに設定されたシチュエーションが、これまた別の「とある映画」のパクリになっちゃうんですよね(^_^;)
このあたり、それなりに映画が好きな観客なら分かっちゃう点だし、一つの映画に2つも他の映画の要素を放り込むってのはちょっとアンフェアな気もするので、それだけで「つまらん映画だ!」と嫌われるかも知れませんね(^_^;)
その意味では、若い人がデートや友達同士で休みの日に観に行くアトラクション的映画としては、お薦めできますが、ディープな映画ファンにはお薦めできないですね(^_^;)
個人的には、中盤がダレたとは言え、全体的にはサスペンスとして盛り上げてくれてクライマックスまで見事に引っ張ってくれていたので、入場料代はペイしたかな?とは思います。
あと、主役のシャイア・ラブーフよりも、FBIのビリー・ボブ・ソーントンの方が渋くてカッコ良かったぞ!と思いました(^^)
※以下、ネタバレがあります。
な~んだ、ヒッチコック風の「巻き込まれ型サスペンスか?」と思いきや、「2001年宇宙の旅」(2001:A SPACE ODYSSEY:1968)だったのね(^^ゞ
明らかにサスペンスだったのに、いきなり中盤で「SFですよ」と言われちゃうんだから、引く人は引くでしょうねぇ。
あの「アリア」は、明らかにスタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」のハルのパクリでしょう。
赤い「眼」もそっくりだったし、人間に反乱を起こして創造主の人間を殺していくし・・・
しかも、クライマックスはヒッチコックに戻って「知りすぎていた男」(THE MAN WHO KNEW TOO MUCH:1956)になっちゃうんだから(^_^;)
この映画、普通の主人公が突然、国家規模の陰謀に巻き込まれて容疑者として当局から狙われ、意味も分からず逃げざるを得なくなり、自然と事件の中心に巻き込まれる形になる・・・って点では、基本的にはヒッチコック風の「巻き込まれ型サスペンス」と断言できるでしょう。
その一方で、中盤のネタバレで、実は事件を仕組んだのが人工知能のコンピュータだったって点は、いきなり近未来SFになっちゃった感じがあります。
その点で、まず観ている観客の中には「なぁ~んだ」と思って白ける人も居たでしょう。
僕も、その前からイーグル・アイのシステムが紹介された時点で「ああSFか」と分かっちゃったし、実際にアリアが犯人だったってのが映画の中盤で早々にバレてしまう点には大いに不満を感じました。
どうせなら、映画の後半でギリギリになってから犯人がバレないと、SFみたいなこの作品でなくっても、普通の犯人探しのミステリーでもネタバレとして早すぎるだろうと思いました。
あとは犯人が仕組んだ陰謀を食い止めるって「サスペンス」に舞い戻るのですが、そのクライマックスの陰謀が、これまたヒッチコックの「知りすぎていた男」そのもので、音楽の演奏につれてカウントが進んで行くあたりは、まったくのパクリだと言われても仕方ないでしょう。
全体がヒッチコック風のサスペンスなんだから、途中で音で爆発するクリスタルと息子の楽器に仕組まれるあたりで「ああ、そうなるのか」とオチが想像できちゃうし。
マイナス点としては、ラストで主人公が撃たれちゃうまでは良かったのですが、それが腕を吊っているだけで元気な姿で表彰されてるオチになるあたりが、ちょっとガッカリでしたね(^_^;)
ビリー・ボブ・ソーントンだけ、英雄的に死なせちゃって、シャイア・ラブーフは怪我で終わらせるってのは甘ちゃんな気がします。
あそこは彼も殺して、泣かせて終わらせないと・・・「なーんだ、生きてたのか」ってガッカリ感しか出ないですよ(^_^;)
と、まあ、のっけから批判めいた事しか書いていませんが、それでは本作が面白くなかったか?と言えば、いえいえ、決してそんな事はありません。
キューブリックやヒッチコックのパクリだとわかっていても、それを差し引いてもそれなりに楽しめる娯楽サスペンスになっているんですよね。
逆に言えば、それだけオリジナルがパクられても尚、面白いだけのものだと言えるわけですが(^_^;)
まず、謎の女性から電話がかかってきて、平凡な青年がテロ事件に巻き込まれていくって設定が秀逸。
国家規模の陰謀に巻き込まれてしまうと、個人なんて何も手出しが出来ないってあたりが恐ろしいですね。
その後は謎の電話の主の指令どおりに動いていくわけですが、「そんな上手くいくかよ!」ってツッコミどころ満載ながら、正体が全米のコンピュータ・システムを操作できる人工知能であれば「さもありなん」と納得出来ますね。
主人公が命令に従わない場合は、無理矢理に従わせる事も、殺してしまう事も出来る。それを相手に見せ付けるだけで、どんな状況も従わざるを得なくなる。
ま、銀行強盗か?と思わせて、実は飛行機の貨物に乗り込む為のクスリだったってのは、出来すぎな組み合わせだなぁ、そんな上手く事がタイミングよく繋がるか?と思ってしまうのだが、相手がコンマ何秒で全て計算できる人工知能なら、あらゆる可能性の組み合わせを考えた上で判断できるんだから、それも上手く行きそうだし。
このあたり、何もかも相手の計算どおりに動くって点で、僕はデヴィッド・フィンチャー監督の「ゲーム」(GAME:1997)を思い浮かべました。
あれも、次から次に、依頼した会社が思い通りにゲームを進めていくわけですが、一方で「こんなに思い通りに主人公は動かないぜ?」と疑問に感じる点もありました。
その点、「イーグル・アイ」では、文字通り「全てお見通し」だったわけですから、可能なのかな?と観客に思わせるだけの説得力は(SFレベルで、ですが(^_^;))ありましたね。
さて、最大の見せ場は、前半のカー・チェイスと後半の無人攻撃機のシーンです。
どちらも絵的に似たような感じなのですが、個人的には前半のカー・チェイスの方が興奮したし迫力があったと思います。
アリアが信号を自由自在に扱えるので、主人公らだけを無事に通過させて警察・FBIを潰すってのもお手の物でしょう。
それでも、アクセル前回でノーブレーキで交差点に突っ込むあたりの迫力ってのは、この手のアクション物としても迫力のあった方だと思います。
その一方で、カメラがアップを多用するものですから、全体像が把握しにくいって欠点もありましたが。
このあたりは、後半の無人攻撃機のシーンでも感じましたが、車がクラッシュする場面で、どの車がどこに・どのようにしてぶつかったのか?が把握しにくいカメラ・ワークだったと思います。
でも、それを差し引いても面白かったと断言できるでしょう。
その分、中盤では目だったアクションが全く無くて、会話中心の非常に地味な展開になったのには、物足りなさを感じました。
クライマックスでもう一度盛り上がったから、全体としてはOKでしたが、やはりサスペンスやアクションでありがちな中盤のダレ場ってのが本作でもあり、そのあたりにもう一つ、銃撃戦でも入れてくれていれば面白かったろうにと思います。
そしてクライマックス近くの無人攻撃機のシーン。
こいつは冒頭でも登場しますので、その存在は観客に知らしめているわけです。
その上で登場するってあたり、見せ方が上手かったと思います。
そして、舞台も単なる道路ではなく「トンネル」にしているあたりが盛り上がる(^^)
攻撃機のカメラで捕らえた映像で、トンネルの幅が攻撃機が入れる大きさだと判断して、トンネル内に入ってミサイルで攻撃するあたり、映像的にも迫力あるものになっていたと思います。
また、それを阻止する為に、ビリー・ボブ・ソーントンがシャイア・ラブーフを逃がして一人で攻撃機に突っ込んで行くあたりも、なかなか渋くて魅せてくれましたね。
ラストに関しては、ま、真正面からのパクリすぎて、突っ込む気にもなりませんでした(^_^;)
つい最近も、とある映画のクライマックスが、オーケストラの演奏が進むにつれて爆弾のタイムリミットが迫るってパターンで、今回と全く同じ状況設定になっていましたが(^_^;)
それだけ、ヒッチコックがリスペクトされているとも言えるでしょうか(^_^;)
とは言え、僕は許せても他の映画ファンは許せないかもしれません。
あれだけパクっている、しかも途中は「2001年」の「ハル」のパクリだし・・・となると、おちおちクライマックスを楽しむ余裕も無かったかも知れませんね(^_^;)
個人的には楽しめたクライマックスですが、「あと1歩」と感じたのは、主人公が死ななかった点ですね(^_^;)
あの場面、主人公には演奏を止める手立てが無かった。
そんな中、咄嗟に思いついた最後の手段として、他の警備員やシークレット・サービスに撃ち殺されるのも厭わず、その寸前に自分を助けてくれたソーントン演じるFBIのように、自分が威嚇射撃をして演奏を止めるんだ!と思った彼の英雄的行動ってのは、誇り高いし涙を誘う判断なわけです。
しかも、あれだけ銃撃を受けて、撃った側もプロの警護なんだから、万が一を考えて急所を銃撃するでしょうに。
僕も一瞬、「え?もしかして彼が防弾チョッキを着ていたとかのオチがあるのか?」と思ったのですが、そんな甘っちょろい考えを吹き飛ばすほど、彼は弾を喰らっていたと思うんですが・・・
ところが、次の場面では彼は殺されているどころか、腕を吊っているだけで英雄として父親と共に兄の葬儀(おそらく国家葬みたいなものでしょう)に出ているシーンに変わるわけだから、「おいおい(^_^;) あんだけ撃たれていて助かったのかよ?」と思った次第です。
とまあ、数多くの疑問点、不満点を抱えつつも、全体としては非常にシャープでテンポの良い演出が目立つ作品であって、冒頭からドラマにハマらせてくれる面白さは十分あったと思います。
あとは脚本家が「自分の頭」でアイデアを出してくれていればなぁ・・・って点が、残念な点でしょうね。
ま、昨今のアイデア不足のハリウッド映画の中にあっては、それは無いものねだりって事になるのかもしれませんね。


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