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2008年10月26日 (日)

「P.S.アイラヴユー」感想(劇場)

「P.S.アイラヴユー」感想(劇場)
(P.S. I LOVE YOU)

(08年10月24日 TOHOシネマズ梅田・シアター3)
(監督)リチャード・ラグラヴェネーズ
(出演)ヒラリー・スワンク ジェラルド・バトラー リサ・クドロー ハリー・コニック・Jr ジーナ・ガーション ジェフリー・ディーン・モーガン キャシー・ベイツ

面白度 :4点/10点
お薦め度:3点/10点


 ヒラリー・スワンク、ジェラルド・バトラー主演の「P.S.アイラヴユー」を観てきました。

 CMで観て「泣けそうな映画だなぁ」と思って、観に行きたいリストの2番目くらいには入っていたのですが、どうも1人で恋愛映画を観に行くのも気がひけるので、なかなか劇場に足が運べなかった作品です。

ま、やはり「泣けるラブ・ストーリー」は押さえておかないといけないと思って、勇気を出してカップルや若い人の集団ばかりの劇場に観に行きました。

 うーん(-_-;) 「いい映画」だとは思うんですが、予想していた「泣ける映画」とかなり違った雰囲気の作品だったので、ある種「期待ハズレ」に感じてしまいました。

ほとんどの観客が、僕と同じように「泣ける映画」だと思って最初からハンカチを用意する勢いで観に行ったと思うのですが、おそらくそのほとんどが、僕と同様に「え?こんな映画だったの?」って違和感を強く感じた事だろうと思います。

おそらく先入観なしに観れば、これはこれで語り口の上手い「いい映画」だと思った事でしょうが、どうしても「亡くなった夫から手紙が届く」ってシチュエーションで、既に泣く準備万端だったもので、そのギャップが大きすぎたのが最大のマイナス点となりました。

その意味で、多くの人が「あれ?」と思うだろうと思って、お薦め度は低くしました。
だって、「泣ける映画」だと思っていたら、最初からけっこう笑わせて、コミカルなシーンが連発されるので「コメディ映画か?」と思ってしまったくらいですから。

 また、僕は夫がやった行為が果たして妻にとって良かったのだろうか?と疑問に思った点も、マイナス要因の一つでした。

映画的には、それが結果的に良い方向に向かったって描き方でしたが、普通なら、二人が過去に過ごした場所や思い出を思い出させるこのやりかたってのは、主人公が夫を忘れなくさせる方向に進むんじゃないかな?と思って、あまり良い方法には思いませんでした。

あと、ラストのあたりもちょっとあっさりしていたような・・・

それまであまり強烈に泣かせるシーンが無かったので、「最後の手紙」でボロボロ泣かせるのか?とかなり期待したのですが、その内容と結果ってのも、ちょっと肩透かしな印象しか受けませんでした。

 いろいろと批判的な点も書きましたが、僕は最初こそ戸惑ったものの、この映画のパターンが次第に分かってきてからは、それなりコミカルな点にハマってしまって、逆にコミカルさが温かさに感じられて印象がよくなりました。

NYが舞台だったし、どこかコミカルだけどジ~ンとさせた「恋人たちの予感」(WHEN HARRY MET SALLY:1989)を観た時のような感じも受けました。

その点で、マイナス点が多かったけれどプラスの面もあったので、面白度は1点プラスして4点としました。








※以下、ネタバレがあります。








 ほんと、観る前から「泣ける映画」だと思って、もし劇場で1人で観に行って、おっさんが1人でボロボロ涙を流してしまったらどうしようか?と思って観に行ったのです(^_^;)

ところが、実際に観始めると、冒頭から二人がワイワイ騒ぎながら派手に喋りあっているので、「あれ?想像とは違ってにぎやかな映画だな?」と思った次第です。

しかも、その直後に既に夫が死んでいて骨壷を前にして、生前の彼が好きだった曲を流すのですが、この曲の歌詞がけっこうブラックな感じで笑わせてくれたので「あれ?」と思い始めた次第です。

観終わってから振り返ると、最初から監督(あるいは脚本家)は「笑い」の要素でオブラートに包みながら、二人の愛の深さを描こうとしていたんだな・・・と分かるのですが、全く予想していなかった状態でコレが始まったものですから、冒頭あたりは予想とのギャップに違和感ととまどいしか感じなかった次第です。

それでも、彼の送ってくる手紙の内容に泣かせられたら良かったのですが、結局は「ホロリ」とさせられはしたものの、観る前に予想していたような、涙が頬を伝うようなボロボロ泣く場面は、結局最後まで登場しませんでした。

確かに難しい点ではあったと思います。
監督の方向性と観客の期待とが大きく違っていただけで、作品の質自体は非常に良かったと思うので、余計に残念でもったいない感じも受けました。

普通だったら、誰がどう扱っても観客をボロボロに泣かせる事が出来るシチュエーション、「亡くなった夫が送ってくる手紙」って設定、この設定が泣かせるはずなのに、ほとんどが泣かせられなかったって点が大きくマイナスに感じられた次第です。

もちろん、自分の死期を悟って、自分が死んだ後に内にこもって外に出ようとしない、ショックから立ち直れないだろう妻を元気付けて、生きている喜びを感じさせてあげたいと思って書いた手紙の内容でしょうが、そのあたりが、ストレートに夫の愛情に感じられなかったって弱さもありました。

 その一方で、主人公を元気付けようとする母親や女友達二人、主人公に惚れている男など、気の優しい面々が彼女をサポートして元気付けようと努力している当たりの姿は、非常に微笑ましくって、この場面でのコミカルさの多さってのは、非常にキャラと似合っていたと思います。

例えば、主人公が1人で家の中で歌を歌っていると、後ろから入ってきた面々が「誕生日おめでとう」の看板を持ったまま、呆然と眺めているって状況や、女友達と3人でアイルランドに旅行に行った時の珍道中ぶりだとか、かなり笑えたし、その笑いの温かさで主人公の悲しみを包み込もうとする雰囲気には非常に好感が持てたのです。

そのあたり、ストレートなコメディ映画ではなく、シチュエーション・コメディのような雰囲気を持ちつつも、ヒューマンな面で感動や涙を誘う展開が中心にあるって演出は、僕は非常に好きなパターンですね。
そのあたりが、最初からわかっていたら・・・そして、その笑いの対極にある「涙」の部分が、もっともっとボロボロと泣かせてくれていたらなぁ・・・ってのが、ボルテージが満点にまで至らなかった要因だと思います。

その意味では、多くのカップルが、泣く準備万端でデートで観に行くと思うのですが、その多くが「あれ?こんな映画だったの?」って意外感や、下手をすれば「期待ハズレだった」と思うのでは?と感じるのです。
ちょっと笑うにしろ泣くにしろ、中途半端で弱いかなぁ・・・と。

 さて、もう一点気になったのは、夫が行った行為そのものです。

彼は残した妻の為に、10通の手紙を残して様々な手法でその手紙を届けるのですが、その行為そのものに是非が大きく分かれる気がします。

だって、映画の中のように過去の思い出の場所やエピソードに絡めて、手紙の内容を次々に書かれていってしまっては、妻が自分の事を忘れて新しい一歩を踏み出す勇気ってのが出てこないんじゃないかな?それどころか、亡くなった夫の事が余計に思い出されてしまって、いつまでも忘れる事が出来なくなってしまうんじゃないかな?と思うのです。

この点では、昔、デミ・ムーア主演の「ゴースト/ニューヨークの幻」(GHOST:1990)とスピルバーグ監督の「オールウェイズ」(ALWAYS:1989)の違いを考えた事があります。
「ゴースト」のやり方では、結局はデミ・ムーア演じる主人公はパトリック・スウェイジ演じる彼の事を深く想いに刻み込んでしまったオチだったのですが、「オールウェイズ」では(ストーリー上、手出しが出来なかったって点もありますが)ホリー・ハンター演じる主人公は、リチャード・ドレイファス演じる彼の事を想いに刻みながらも、新しい愛に一歩進んでいくわけです。

結果を考えると、やはり死んでしまった者をいつまでも思い続けるよりも、生き残った者が残りの人生を生きていく為には、ある程度「忘れる」事も必要になってくるでしょう。
そのあたり、本作「P.S.アイラヴユー」では、ちょっと夫への想いを引きずりすぎるような設定では無いのかな?彼女の為にならないのでは?と思った次第です。

 あの手紙の中で唯一、良かったと思える手紙は、妻に対して過去の興味を思い出させて、靴のデザインに打ち込むように向かわせた点でしょうか。
これは、若き日の情熱を思い出させて、彼女を一歩前進させる為に「トン」と背中を押す意味合いがあったと思うので、非常に重要だったと思うのです。

しかし、それ以外の手紙のほとんどは、妻と自分がどうやって出会ったか?を思い出させる郷愁への旅って感じであって、なかなか忘れられなくなってしまうよなぁと感じたのですが。

しかも、普通なら最後の手紙を読んで「新しい恋に一歩踏み出す」って事に、背中を押してあげて、それが結果的に自分を忘れる事になるんだって展開で終わるべきだったと思うのです。

その前、ハリー・コニック・Jr演じるダニエルがホリーにレストランで告白したシーンで、ダニエルが「僕は透明人間じゃない。男を男として見られない女性とは付き合えない」って意味のセリフを言いました。
僕はこの場面がこの作品で一番、胸にジ~ン!と来たシーンだったのです。

それを踏まえて、スタジアムに二人っきりで入ってきて、最後の手紙をダニエルが読んだ上でホリーがダニエルの愛情を真正面から受け入れる・・・って展開でハッピー・エンドでよかったのでは?と思ってしまったのだが。
それが、「まるで兄弟でキスしているみたいだ」とか、さらりと流されてしまっては、今までの手紙の積み重ね、そして最後の手紙の内容ってのは全く(ストーリー的に)意味が無かったのか?と思ってしまった次第です。

 とまぁ、なかなか難しい展開でしたが、最後の最後でボロボロ泣ける(泣かせる)チャンスがありながら、それをさらりと流してしまったオチに、「あ~あ」とため息をついたのは言うまでもありません。

キャシー・ベイツ演じる母親のキャラも魅力的だったし、ちょっと変人っぽいけど惹かれるハリー・コニック・Jrのダニエルも魅力的だった。
バーで出会った男性に「あなた独身?ゲイ?仕事は?」と聞きまくる彼女も、セクシーさが衰えないジーナ・ガーションも、非常に魅力的な脇役だった。
それら魅力的な脇役が盛り上げるって点では、やはり「恋人たちの予感」的な、アット・ホームで暖かな作品の雰囲気を楽しめたと思います。

それが主人公と亡くなった夫とのラブ・ストーリーに全て収束して、感動で泣かせてくれていたら、文句は一切なかったんですけどね(^_^;)

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