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2008年11月16日 (日)

「ハッピーフライト」感想(劇場)

「ハッピーフライト」感想(劇場)

(08年11月15日 TOHOシネマズ梅田・シアター2)
(監督)矢口史靖
(出演)田辺誠一 時任三郎 綾瀬はるか 吹石一恵 田畑智子 寺島しのぶ 岸部一徳

面白度 :6点/10点
お薦め度:3点/10点


 「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」の矢口史靖監督の最新作、「ハッピーフライト」を観てきました。

 かなり期待して「観たい!」と思って劇場に足を運んだのですが・・・
・・・う~ん(^_^;) 映画としてはイマイチの出来でしたね。

個人的には好きな面もあって、それなりに満足したのですが、「映画」の完成度としてはかなり物足りなさを感じました。
ですから、お薦め度は6点としましたが、お薦め度は非常に低くて3点です。

とにかく、ストーリーがシンプル過ぎて呆気なかった印象が一番です。
もちろん、コミカルな部分を中心に描いているのでしょうが、その芯となるストーリーに人間ドラマや感動を置いてなければ、やはり「映画」としては非常に弱い感じが残りました。

その一方で、「笑い」の面でもちょっと物足りなすぎた気がします。
どうせなら、ストーリーが弱いのであれば、コミカルな笑いをバンバンと出して笑わせ続ける方が、作品としての満足度も高くなったように思います。

それでも、個人的には「プロフェッショナル」を描いた部分が非常にしっかりと描かれていたので、その点を観ているだけでも興味津々で「なるほど」と思えたので、全体の満足度はそこそこ高かったです。
ま、映画そのものの出来で言えば、面白度は4点くらいに落ちますけどね(^_^;)

 まずストーリーの面で言えば、主役の一人、綾瀬はるか演じるCAのキャラなど、初めての国際線の搭乗って事で、ドジの連発から成長していく姿を描く事が十分可能だったのに、ケーキを作っただけで皆に認知されてしまって、それほど怒られるわけでもなく、途中経過をすっ飛ばして成長してしまった印象があります。

或いは、地上クルーの中では、田畑智子のエピソードなど、あの男性とどうなったのかな?とか非常に興味がある部分ですし、普通のドラマなら「オチ」として彼女と彼がどうなったか?のセリフのやり取りくらい、ワン・シーンを割いてキッチリ描くはずなのに、「さあ、どうなる?」ってシーンで終わっていました。

その他の地上クルーでは、登場人物がそもそも多すぎて、それぞれのキャラを深く描く所まで行っていないので、ま、あれはあれで仕方ないかな?とは思いますが、上記二人のエピソードくらいは、倍の時間を割いてでも描くべきだったと思います。

一方で、パイロット試験の田辺誠一のキャラは、なかなか満足の行く描き方でしたね(^^)
相方となる時任三郎との掛け合いも上手かったし、このコンビは良かったと思います。
特に無線とアナウンスを使った場面は、どれも絶品の笑いでした(^^)

 さて、個人的に好きだった「プロフェッショナル」の描き方の点です。

この映画を観ていると、細かいワン・シーン、ワン・シーンの登場人物のセリフ・所作ってのが、非常にプロフェッショナルな面が感じられます。
特にCAが中心となっていますので、彼女たちの言動が非常にリアルに感じられて「ほほう!」と思う部分が多かったです。
もちろん、ANAの前面協力があったからでしょうが、監督のリサーチも見事だったと思います。

例えば、着陸時に備えて身に着けている時計や入れ歯などを外すようアナウンスしたり、頭を下げるよう声をかけ続けていたり、自分たちのスカーフを座席下に収納したり。
当然と言えば当然なんですが、おそらく普段のCAの行動として決められている点をキッチリとリサーチし、それを映画の中で反映させているのだろうと思います。

ほかにも、整備士が工具の一つを無くしただけで、全員が総動員してゴミ箱から床の隅々まで、見つかるまで探し続けるって点も、おそらく実際の行動なのでしょう。
ま、実際にはあんなポカをする前に、工具箱を閉める前の「確認良し!」とかの指差し点呼で気付くはずなんでしょうが(^_^;) ま、ここは映画ですからねぇ。

田畑智子とその相棒が、席を確保する為に誰をどこに移動させて・・・ってやる場面なんかも、「なるほどなぁ」と実際にある場面を描いていたように思います。

それらプロフェッショナルな局面の中で、クレーマー的存在の男性客をいかに納得させるか?って事で、チーフ(寺島しのぶだったかな?)のCAがお客さんを納得させるあたりの会話も、基本的なクレーム対応に則っていたので、なかなか上手い感じでした。
つまり、先に対応したCA(吹石一恵)が、その場しのぎで謝る為に、自分たちの非を認めて「すみません」と謝ってしまった事が、対応の不一致になってしまった点です。
それを、対応の不一致としてきっちりと「非」と認めて謝る姿勢が必要だったのでしょう。

 あと、管制塔のスタッフが、マイクのスイッチを押して喋る合間合間に、互いに私語を交わしている感じだとか、飛行機型のチョコで地図の上に誘導してみたりだとか、いわば「職業病」的な面を「笑い」に変える場面が幾つかありました。

実は個人的にこの映画に求めていた「笑い」の一つに、この手の「職業病」の笑いがあるのです。
しかし、これらは実際にはそれほど観客の笑いにはつながっておらず、せいぜい「ニンマリ」と笑う程度が何箇所かあった程度だったのが残念です。

そう言えば、周防正行監督の「Shall We ダンス?」の中で、竹中直人が会社で直角歩きをするシーンに大爆笑が起こりましたが、ああいった感じの笑いがもっともっと、貪欲に描いて欲しかった気がします。

そう、この手の「プロフェッショナル」さを見事にリサーチし、娯楽としてドラマに昇華させた傑作が「Shall We ダンス?」だったと思います。

そのレベルを期待するのは難しいでしょうが、本作は「プロフェッショナル」の「仕事」は見事に描けていても「ドラマ」はイマイチだったように思うのです。
どうしても、「ドラマ」が主として骨格を作った上で、それを強固に補強する為のプロフェッショナルへのリサーチだろうと思うからです。

今回で言えば、先に述べたように新人CAの成長物語であり、地上スタッフのお客さんとの人間ドラマであったりと、描ける部分はいくらでもあったのに、それが「さらり」と流されるだけだったのがもったいなかった。

また、メイン・ストーリーでも、飛行中の機体に不具合が生じて、台風一過の空港への安全な着陸が出来るか?って1点だけで全てを描こうとしていましたが、ハイジャックや「エアポート」シリーズのような大規模なサスペンス映画を見慣れている観客の目としては、非常に小規模で地味な印象は拭えません。

だからこそ、ハリウッド級の大規模なアクションやサスペンスが描けないからこそ、もっと徹底的にコミカルさ、笑いの貪欲さを追及して描いた方が、面白度が遥かに上がった気がするのです。

 実は、これだけ有名な矢口監督なのですが、僕は今回が初めて作品を観ました。
おそらくは話題となった「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」の方が、今回の映画よりも、ドラマ的にもキャラ的にも、もっと面白いだろうと思います。

機会があれば、この2作も是非観てみたいと思います。

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