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2006年8月30日 (水)

「サブウェイ」リュック・ベッソン(監督)

【お薦め映画】

「サブウェイ」(1984)
(監督)リュック・ベッソン(出演)クリストファー・ランバート、イザベラ・アジャーニ、ジャン・レノ、リシャール・ボーランジェ、ジャン=ユーグ・アングラード



 今回紹介するのは、リュック・ベッソン監督の1984年の作品「サブウェイ」です。

リュック・ベッソンと言えば、「グラン・ブルー」「二キータ」「レオン」で有名なのですが、この作品は、その前に作られたベッソンの劇場第2作です。

内容的には、ミニ・シアター系のドラマであり、あまり派手なものを想像すると物足りないかもしれません(^_^;)
しかし、どこか同じ年に作られた「レポマン」(1984:アレックス・コックス監督、エミリオ・エステベス主演)に似た感覚を受ける、摩訶不思議感のあふれる小品です。

物語は、とある情報を盗んだ男(クリストファー・ランバート)が、それを取り返そうとする奴らから狙われると言うサスペンス調で始まるのですが、サスペンスっぽいのはそこまで(^_^;)

あとは、主人公が逃げたフランスの地下鉄(サブウェイ)の迷路のような地下空間に住む、奇妙な人たちとの交流を描きつつ、イザベラ・アジャーニ演じる情報源の妻と主人公との恋愛も絡みつつの物語となります。


 とにかく、この映画に登場するアジャーニが美しい!

ホームに主人公が座っていると、階段からアジャーニが降りてくるんですが、そのドレスを着たスレンダーで見目麗しい足が、次第次第に階段を下りてくる姿をカメラが捕らえるシーンが美しい!

そして、手錠をしたアジャーニが拳銃を構えてベッドの上でランバートを狙っている姿もキュートで美しい!

極めつけは、ジャン・レノとジャン=ユーグ・アングラードも絡みつつ、無人となった深夜の地下鉄構内で、ラジカセからりっキー・リー・ジョーンズの名曲「ラッキー・ガイ」を流しながらランバートとアジャーニが踊るシーンの美しさときたら!


 次に良いのは、冒頭のカー・チェイスです。

ベッソンでカー・チェイスと来れば、彼が製作・脚本を担当した「TAXi」を思い浮かべますが、あの映画では、確かにカー・チェイス・シーンの映像はド迫力だったのですが、いかんせん、チェイス・シーンの映像のバックに流れる音楽が、なぜか気の抜けた炭酸のような、腑抜けた音楽だったので、全くスピード感も無く、マイナス効果しかなかったもったいないシーンの連続だったのです。

一方、この「サブウェイ」の冒頭から展開する、都市内での派手なカー・チェイス・シーンでは、ベッソンと長らくコンビを組んでいるエリック・セラが音楽を担当し、ビートの効いたポップ調の非常にノリの良い音楽を流しており、しかもランバートがそれをカーステのカセットで聞いていると言う設定で流しているあたり、まさに映像と音楽が渾然一体となって興奮させられるシーンに仕上がっているのです。

映画では、カー・チェイスにユーモラスなシーンも含まれており、追っ手の数名の男たちが、チェイス終わりの場面で、握っていた手を「フゥー」軽く吹いたり、ゲロを路面にぶちまけたりと、なかなかにニンマリさせるシーンがあります。

その後、駅の構内に逃れた主人公は、そのまま電車に乗り込み、乗り込んだ電車が地上から地下へ入っていって暗転するとともにタイトルの「サブウェイ」が出てくる軽妙さ!


 映画では、主人公を追う刑事役にも、ユーモラスに描いており、登場場面のエリック・セラの音楽だとか、部下とのやりとりだとか、キャラの魅力満載に描かれております。

また、ベッソンの第1作からの常連で、のちの「グラン・ブルー」「二キータ」「レオン」でも準主役・主役を張るジャン・レノもドラマーの役で出ており、また、のちに「二キータ」で二キータの恋人役を演じるジャン=ユーグ・アングラードもローラスケートを履いた若い姿で登場しているのも見ものですね(^_^)


 そして、音楽が素晴らしい!

先ほどから書いていますが、この映画は長らくベッソンとコンビを組んでいるエリック・セラが担当しています。

映画を観ると是非とも音楽が聞きたくなりますし、実際にサントラも上々の出来で買って損はないでしょう。

劇中歌「It's Only Mystery」も入っており、この歌も非常に良いんですよね(^_^;)
「グラン・ブルー」のラストの歌も、海の中のような透明感があって良かったのですが、この歌も心にしみる歌いっぷりで好きですね(^_^)



【関連作品】

2006年8月13日 (日)

「ある日どこかで」

お薦め映画

「ある日どこかで」
ヤノット・シュワルツ(監督)クリストファー・リーヴ、ジェーン・シーモア(出演)



 今回紹介するのは、ヤノット・シュワルツ監督、クリストファー・リーヴ、ジェーン・シーモア主演の「ある日どこかで」です。

内容的には、タイムスリップを扱っているのでSFのジャンルに入るのかもしれませんが、どちらかとファンタジーに入れたい香りのする、素敵な物語です。

 最初に観た時には、そのラストシーンの印象の強烈さに、もう一生忘れる事の出来ない名作となってしまいました。

ジェームズ・キャメロンの「タイタニック」が公開された時、思わずこの作品を思い出してしまった人は僕だけでは無いでしょう。
過去への郷愁とノスタルジックな雰囲気、時代を超えて続く愛ってテーマが、どこか「ある日どこかで」を思い起こさせたのだと思います。

しかし、「タイタニック」と同じ感動を期待すると、この映画のラストでは、足元をすくわれるようなショックを受けるかもしれません。
衝撃的であり、ちょっと救われないかもしれないので、逆にハマらない人も出てくるかもしれません。

また、主演のクリストファー・リーヴが、映画「スーパーマン」で売れた人であり、肉体も服がはち切れんばかりにパンパンなものですから、ちょっとロマンチックなイメージに似合わないと感じて、この映画にハマらない人もいると思います。

しかし僕は、その衝撃的なラストも、クリストファー・リーヴの主人公も、まったく違和感無くハマってしまったのです。


 ストーリーに関して言えば、とあるホテルの資料室に飾ってある一枚の写真、その写真の中の女性に恋してしまった現代の青年である主人公が、「願う」事によってタイムスリップすると言う、ちょい、安直な方法で過去に行くのです。

そこで出会った写真の中の女性と、実際に恋に落ちるのですが・・・

実は冒頭に前振りがあった上で、ラストに「こうなるかぁ」って落ちを用意しています。単にロマンチックなだけのラブ・ストーリーを期待していると、かなり衝撃を受ける事と思います。

僕は逆に、それゆえに主人公の切なさが心にグサリと刺さってしまい、一生忘れる事の出来ない名作となってしまったのです。
悲しいし切ないですが、甘いノスタルジックさも残ってくる名作です。


 主演のクリストファー・リーヴは、先にも書いたように「スーパーマン」で主役を演じていただけあって、筋肉質の逞しい男性なのですが、その表情とか演技が良くって、どこか誠実でキュートな好青年を演じていたと思います。

対するジェーン・シーモア! 写真に写っている女性に惚れるってストーリーなのですが、それを演じるシーモアが非常に美しい!
役柄に負けていない美しさと気品があって、スクリーン上に登場する数多くの女性の中でもベスト10に入る素敵さだと思います。


 実は、この映画とそっくりの設定の小説があります。

ジャック・フィニィの名作「ふりだしに戻る」です。

この作品も、願う事によって過去に行き、そこで女性と恋に落ちるわけですが、過去に行く先がニューヨークであり、そこでの風景や社会の描写が微に入って詳細に描かれているのが読んでいて楽しい作品でした。
思わずハマり込んでしまう小説だったのですが、ラストに関しては映画の方が衝撃が強かったせいか「ある日どかで」の方が印象に深く残っています。

では、この「ある日どこかで」もフィニィの原作か?と思えば、実はリチャード・マシスン(スピルバーグの「激突!」の原作者)が原作であったって事で、別作家でも似た雰囲気の作品を書くんだなぁと感じた次第です。


〔関連作品〕

2006年8月12日 (土)

「誰かに見られてる」リドリー・スコット監督

お薦め映画
「誰かに見られてる」
(監督)リドリー・スコット
(出演)トム・べレンジャー、ミミ・ロジャース



 リドリー・スコット監督の「誰かに見られてる」は、スコット監督作としては、トム・クルーズが主演した「レジェンド/光と闇の伝説」(1985)と「ブラック・レイン」(1989)の間の1987年に製作されました。
当時、あまり話題にもならず、それほど観客も入っていなかったと思うのですが、僕は未だに非常に心に残っているのです。

と言うのも、スティングが歌うテーマ曲「Someone to Watch over Me」が非常に美しく、冒頭に流れるこの歌声だけでノックアウトされてしまったからです。

内容的には、殺人事件を目撃した女性(ミミ・ロジャース)をボディーガードする為に、トム・ベレンジャー演じる刑事が派遣されるのですが、いつしか二人の間に惹かれあう心が生まれて・・・って、どこかケビン・コスナーの「ボディーガード」的展開ではあります。

サスペンスとしては、特段、目新しい部分はありませんので、アクションやサスペンスに期待を持つとハズすかもしれません。

しかし、二人の身分の違い、女性は金持ちで高級マンションに住み、刑事は普通の身分である、この二人の惹かれあう姿と、なんと言ってもリドリー・スコット監督の本領発揮の夜の風景の美しさってのが最高に素敵で、サスペンスで味付けされただけで基本はラブ・ストーリーであると観ると、非常に素敵で上質な大人の恋愛映画である事がわかります。

そう、この映画は実はサスペンス映画ではなく、極上の大人の恋愛映画なのです。

 ただ、唯一、残念なのが邦題なんですよね(^_^;)

その上質な大人のラブ・ストーリーの雰囲気をぶち壊す邦題。

原題の「Someone to Watch over Me」はジョージ・ガーシュウィンの名曲から取られたものであり、内容に即して付けられた名タイトルだと思います。

内容に即して訳すれば「私を見守ってくれる誰か」って意味あい(なのかな?)だと思うのですが、サスペンス映画である事を強調する為に、全く逆の意味の「誰かに見られてる」って邦題にしたのは、この映画の内容を全く理解していない配給会社の理解不足でしょうね。

どうせ、話題的にそれほど大ヒットするとも思えないものですし、しっかりと内容を理解して美しい邦題を付けて欲しかったです。

 ちなみに、テーマ曲のスティングの歌は、彼の映画テーマ曲ばかりを集めた「マイ・ファニー・ヴァレンタイン ~ スティング・アット・ザ・ムーヴィーズ」に収録されており、名曲揃いなので是非ご一聴下さい(^^)


〔関連作品〕